想い出 喫煙や飲酒
介護保険が始まるまで、京都府北部の養護老人ホーム、特別養護老人ホームの色々な職種での集まりがあった。隔月くらいで開催され、年間の研究テーマを決めて色々と議論をする会だった。
京都府の北部であるため、久美浜から舞鶴までの施設が一ヶ所の施設に集まり、午前・昼食・午後と1日通して話をする。私は生活指導員(現在の生活相談員)部会に参加していた。
生活指導員(現在の生活相談員)はとても個性豊かな人が多く、他の施設に自分の施設の処遇が劣っていることを恥ずかしいと思う人が多かった。自分の施設の自慢をしだすと、止まらなくなるほどである。こんな施設にしたいという夢を 語り合うことが多かった。今でも当時の生活相談員のメンバーは年1回集まって忘年会をしている。昨年末は新型コロナの感染予防のため当然中止となったが。
昔の話で思い出すことがある。今となっては議論することも驚くような話であるが、テーマとしては「利用者様が自室で、好きな時間に好きな場所で喫煙ができるか」という話であった。30年近く前は、建物内で喫煙できるのは当たり前のことで、施設によっては利用者様が自分の部屋に灰皿を置いて喫煙をされていた。久美浜苑は、寮母室のカウンターのところでないと喫煙ができなかった。現在は建物内での喫煙ができないが、当時は普通に休憩する場所で職員も喫煙していた。
ある施設の相談員は、自分の生活に置き換えると、自分の城である居室で喫煙ができないのはその人の自由を奪っていることになると言われ、ある施設の相談員は、喫煙しない人もあるのでその人にとって煙は嫌だろうから、場所を決めて居室外での喫煙をお願いしている等の意見があり、色々と話が交錯する。どちらの意見も正しいと考えられることだと思うが、大切なことはその人のことを考えて真剣に話し合いをすることではないかと思う。
また喫煙と合わせて飲酒についても同様の議論もされていた。久美浜苑にも夜に毎日ワンカップを飲まれる方がおられた。とてもおいしそうに飲まれていた。「うみゃあ!」と小さな声で話される姿は、お酒をあまり飲まない私でも本当はおいしいのではと考えてしまうほどであった。今から考えたら驚くような話ではあるが、本当の話である。