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鼻かけ地蔵  (但馬の伝承話) 

家から久美浜苑までの間(城崎の町から円山川を隔てた向こう岸の楽々浦【ささうら】

という所)に、鼻かけ地蔵という変わったお地蔵さんが祀られています。

毎年6月の初めに鼻かけ地蔵尊という祭りがあり、護摩供養や、くじ引き、

餅配りなどをしますが、このお地蔵さんのお話です。

 

むかしむかし、楽々浦に、正直で働き者の漁師が住んどったそうな。

ある晩、この漁師の夢にお地蔵様が現れて、水の底から引き上げてくれと

頼んだそうな。

不思議なこともあるもんだと思いながら、いつも通り網を打って引き上げると、

これがなんと、夢にでてきた通りの石のお地蔵さんであったそうな。

 

漁師は、川のそばのたもとの木の下にそのお地蔵様をおまつりしたそうな。

ところが、そのお地蔵様の鼻から、ぽろぽろ、ぽろぽろとお米がこぼれ出るので、

どんどんお米がたまっとる。

漁師は喜んで、村の人たちにもお米を分け、お地蔵様を大切にお守りしとった。

 

ところが、欲にはきりのないもんで、漁師は、ぽろぽろ、ぽろぽろと出てくる

米を見ているうちに、これがぽろぽろでなくザァーッと出るようになれば、

働かんでもよいのにと考えるようになった。

 

そして、とうとう、ある日、お地蔵様の鼻の穴を大きくしようとしたんだな。

ところが、手もとが狂って、お地蔵様の鼻をのみでかいてしまった。

「しまった。」と思った時はもう遅い。鼻のかけたお地蔵様からは、

もう、一粒のお米も出んようになったそうな。

 

それでも、このお地蔵様には、ひとつだけお願いごとをすると、

その願いをかなえてくださるそうな。

 

おしまい

 

 

mm

 

 

投稿者:kaigoka | Posted in 久美浜苑, 苑便り | No Comments »
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